デン・ハーグの映画館①~Filmhuis Den Haag

外観:建築はHerman Hertzberger氏の設計

お気に入りの映画館を紹介します。

デン・ハーグ中央駅から徒歩5分程のSpuiにある『Filmhuis Den Haag(フィルムハウス・デン・ハーグ) 』は映画館というより、アート系・世界各国の映画を中心とした映画文化施設と言った方が相応しい。

映画好きにとってとても重要な存在で、映画上映だけでなく、映画祭、監督とのトーク、教育、展覧会なども行っています。

歴史〜構想から設立、映画文化発信施設へ

・1975年:デン・ハーグ市議会が「Haagse Filmstichting(ハーグ映画財団)」を設立し、Filmhuisにつながる構想が始まりました。

・1981年9月2日:Denneweg 56で正式に開館。オープニングでは映画監督 オーソン・ウェルズへの大規模なオマージュ上映が行われました。本人の来場も期待されましたが、実際には来られず、電報で感謝を伝えたそうです。

・1991年:現在の Spui 191へ移転。建物はオランダを代表する建築家 Herman Hertzberger 氏(1932〜)の設計。現在のSpuiに移転後30年以上になります。

・2012年以降:デン・ハーグ南西部のEscamp地区にある Theater Dakotaでも追加の映画上映を行っています。 

特徴〜人気の秘密

その特徴を幾つかあげてみます。

①「ハリウッド映画館」との違い

Filmhuisが特に力を入れているのは、国際的なアート映画、インディペンデント映画、ドキュメンタリー、クラシック映画、監督・俳優に焦点を当てた特集上映です。例えば現在のプログラムには、

・映画史上の名作を扱う 「Cinematheek」

・カルト映画や知られざる作品を扱う 「Filmhuis NEXT」

・デン・ハーグの多様な社会やテーマを映画とトークで考える 「Filmhuis Connect」

といった独自のプログラムラインがあります。 

Cinematheekでは、Wim Wenders、Studio Ghibli、Powell & Pressburger、Bette Davis、黒澤明など、映画史に残る監督・俳優・作品を特集してきました。単に「昔の映画を上映する」のではなく、映画史を現在の観客に再発見してもらうことを重視しているのが面白いところです。 

②映画館そのものもかなり個性的

現在は通常の映画館が5スクリーン・計332席、さらに23席の小さな boutique cinemaがあります。

加えて、展示スペース、教育スペース、多目的ホール、カフェ、図書館・アーカイブなどを備えています。 したがって「大きなシネコンで最新作を見る」というより、小規模なスクリーンで作品をじっくり味わう場所という雰囲気です。

ステップフロアによりそれぞれの空間がシームレスに繋がる
多目的に利用可能なカフェ
スクリーン以外に様々なスペースがある

③貴重な「映画アーカイブ」がある

Filmhuisの隠れた魅力が、映画関連資料のコレクションです。所蔵資料には、

・1930年代からの映画批評

・新聞の映画記事・切り抜き

・映画雑誌・映画関連書籍

・映画広告

・映画スチール写真

などが含まれます。中心となっているのは、ジャーナリスト・映画制作者・写真家の Piet van der Ham(1910–2006) のコレクション。Filmhuisはこれを1984年に購入し、現在のアーカイブの基礎となりました。Filmhuis自身は、オランダで「2番目に大きい紙媒体の映画アーカイブ」と説明しています。 

スタジオA:映画雑誌コレクション(2026年8月現在改修中)
映画関連書籍

④「映画を観る場所」以上の存在

Filmhuisが掲げている考え方も特徴的です。映画を単なる娯楽ではなく、異なる文化や他人の視点を理解するための手段と位置づけています。そのため上映だけでなく、

・監督・俳優とのQ&A

・パネルディスカッション

・映画祭、展覧会

・ワークショップ、学校・大学向けの映画教育

などを積極的に行っています。年間来場者は34万人以上で、そのうち約19,000人が映画教育プログラムに参加している。 

また、国際都市であるデン・ハーグらしく、英語音声作品や英語字幕付き上映も毎週複数用意されています。オランダ語が分からない人にも比較的利用しやすい映画館です。 

教育スペース

まとめ〜特に面白いと思うポイント

この映画館をを一言で表すなら、「デン・ハーグの映画文化の家」という感じです。

・映画を上映する 

→ 映画について話す 

→ 映画の歴史を保存する 

→ 映画を通して社会や他文化について考える

というところまで一つの施設でやっているのが特徴です。

館名について「Filmtheater(映画劇場)」ではなくあえて 「Filmhuis(映画の家) 」という名前を選んでいるのは、「劇場よりも身近で、家(家庭)のような場所にしたい」という思いが込められているのではないでしょうか。

上映プログラム(2026年6月頃)

Filmhuis Den Haagは、いわゆる「映画を観に行く」というより、デン・ハーグの文化に触れに行く感覚で訪れると、より楽しめると思います。

初めてなら、上映作品を選ぶ際に 「Cinematheek」「Filmhuis NEXT」「英語字幕あり」あたりを目印にすると選びやすい。

鑑賞後は併設のベジタリアンメニューが充実しているカフェで過ごすこともおすすめです。

カフェでひと休み

◾️参考データ

場所 :Spui 191, 2511 BN Den Haag

ウェブ:http://www.filmhuisdenhaag.nl/

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